2013年12月13日金曜日

walkmanzow我流!「チャーチモード」の効率的な覚え方

■運指の練習はいまだにドレミファソラシド


ギターで単音のフレーズをピッキングする練習で一番なじみがあるのは、いわゆる「メジャースケール」の「ドレミファソラシド」だと思っている。私の場合、ギターを練習するときのウォーミングアップは、Cメジャースケールで「ドレミファソラシド」で上昇し、「ドシラソファミレド」で下降するフレーズから始めている。なるべく遅いスピードで。音楽の授業で練習した音階である。私はもっぱら、53フレットのC音からスタートする。

この音階をゆっくり弾きながら、「左手の運指がぎこちなくなっていないか」「指に変な力やストレスが掛かっていないか」「どこか痛くないか」「右手のピッキングは安定しているか」…などを確かめているわけだ。こんな簡単なフレーズでも、未だにミスピッキングしたり、余計な音を出してしまったり(上手にミュートできていなかったり)するから、バカにできない。

で、その後、トライアドで「ドミソ」「レファミ」「ミソシ」「ファラド」…と上昇し、「ソミド」「ファレシ」「ミドラ」「レシド」…と下降。こういうフレーズになると、もっとミスりやすい。だから、ひたすらゆっくりが基本。

■チャーチモードに挑戦してみるか?でも難しい


弾くのはもっぱらCメジャースケールなのだが、最近はちょっと違うスケールでも弾いてみようかなと思い、先日、いわゆる「チャーチモード」(教会旋法)を練習してみようと思った。でも、理屈は(とりあえず)分かるんだけど、覚えるのが難しい。私のようなロックギタリストはこういうのが苦手だ。

もう少し丁寧に説明しよう。まず、「理屈は(とりあえず)分かる」というのはこういうことだ。

通常のメジャースケールというのは、チャーチモードで言うと、アイオニアン。誰もが慣れ親しんでいる「ドレミファソラシド」である。C音を「ド」として歌い始めると、それが「Cアイオニアン」だ。

で、次。さっきのCアイオニアンと「同じ構成音」と「その呼び方」をそのまま使用し、レからスタートする「レミファソラシド」を歌うと、それが「Dドリアン」。

同じ要領で、ミからスタートすると「Eフリジアン」、ファからスタートすると「Fリディアン」、ソかららスタートすると「Gミクソリディアン」、ラからスタートする「Aエオリアン」、シからスタートすると「Bロクリアン」、で…その上のドからスタートすると、最初に歌ったのよりも1オクターブ上の「Cアイオニアン」になる…といった具合である。

もう1回、順番に書くと…

Cアイオニアン
Dドリアン
Eフリジアン
Fリディアン
Gミクソリディアン
Aエオリアン
Bロクリアン
Cアイオニアン

いずれも、①のCアイオニアンのスケールと同じ構成音またはそのオクターブで歌って(弾いて)おり、言ってみれば、どのスケールもCアイオニアンの延長線上にある。要は、「どの音で歌い(弾き)始めるのか」だけの違いだ。

■音楽の授業でやった発生練習


小学校だったか中学校だったか忘れたが、音楽の授業で「ド・レ・ミ・ファ・ソ・ファ・ミ・レ・ド」と上がって下がるフレーズで「ハッハッハッハッ、ハッハッハッハッハァ~」と発生練習をしたことを何となく覚えている。最初はドからスタートするフレーズ、次にレからスタートするフレーズ…といった具合にどんどん上がっていったような記憶があるのだが、アレは、要は上記の①~⑧のチャーチモードを練習していたわけなのかな、と…。高くなると発声しにくくなるが、「スケールを追うこと」自体はそんなに難しくはない。現に音楽の授業ではそう歌っていたのだから。

これはギターでも同様だ。無論、最低限の練習は必要だが、①~⑧を順に弾くことは(ゆっくりなら)そんなに難しいことではない。最初の①Cアイオニアンを弾けば、②Dドリアンの音階が自ずと頭の中に浮かんで、それを実際に弾こうとする。もしも、音階を間違えたら、「あ、今、間違えちゃった!」って、すぐに分かる。頭の中では理解できているからこそ、「間違えた」ことに気付くわけだ。

このように学校の音楽の授業の経験もあるので、上記のような説明に関して言えば、とりあえずその理屈は分かる。ネットなんかで調べてもチャーチモードの説明は概ねこれと同じ要領ではないだろうか。

■「発生練習」と「モードの習得」は別


ただし、ギターで①から⑧を弾けたからと言っても、いまひとつモードを覚えた気にはなれない。この段階で「弾けた」というのは、あくまでもCメジャースケール(Cアイオニアン)の「感じ方」を基準として、その延長線上で弾いただけの話であって、個々のモードを感じたり、覚えたりしているわけではない。少なくとも、私の場合はそうだ。

例えば、Cアイオニアンを弾いた後に、Dドリアンは感覚的に弾きやすいわけだが、「Cドリアンを弾け」と言われると、とたんに困ってしまう。「あれ、どうだったっけ?」と。

同様に、Cフリジアン、Cリディアン、Cミクソリディアン、Cエオリアン、Cロクリアンを弾けと言われても、戸惑ってしまう。

ま、そこを我慢して弾けるようにすることこそが「スケールの勉強」なんだろうな~と割り切り、ちょっとずつ覚えようとは思うんだけど、7つのモードが全部バラバラだから、覚えるのがけっこう大変だったりする。

■「ある法則」を発見


で、なんか、いい方法がないかな~と思いながら指板を眺めていたのだが、ふとしたことで「ある法則」に気付いた。さっきは「全部バラバラ」と書いたのだが、実は各モードはすごく似ている。

最初に気付いたことはこうだ。

Cアイオニアンを弾いていたとき。「あれ、これって4番目の音を半音上げると、リディアンじゃん!」。

一般には、上記①~⑧の順序のように、最初に覚えるモードはCアイオニアン(っていうか、これはなじみがありすぎて覚える必要もない)であり、その次はドリアンだ。

ネット上に数多ある解説を拝見しても、私が見た限りでは(全てを見たわけではないが)多くの解説でアイオニアンの次にドリアンを説明している。それはそれで当然なのだろう。

こうしたネット上の解説では、簡単な覚え方として、それぞれのモードの頭の文字だけをつなげて「アドフリミエロと覚える」といったコツを教えくれているケースもあった。アイオニアンは「イオニアン」という言い方をする場合も多いので、「イドフリミエロ」という覚え方を紹介するネット解説もあった。試しに、「アドフリミエロ」とか「イドフリミエロ」でネット検索すると、検索結果がたくさん出てくる。

でも、こと「モードそのもの」を暗記する上では、アイオニアン(1番目のモード)の次に覚えるのは、ドリアン(2番目のモード)ではなく、リディアン(4番目のモード)の方がよさそうだ。なぜなら、アイオニアンの7つの構成音のうちたった1音だけを変えれば、リディアンになるのだから。先述の通り、音階の4番目の音だけを♯すればいい。

さらにだ。そのリディアンの最初の音だけを♯すると、今度はロクリアン(7番目のモード)になることにも気付いた。リディアンの音を1つだけ変えれば、ロクリアンというわけだ。

1つだけ変えれば違うモードに


この辺りで、私は「これは、もしかして…」と思い始めた。で、指板上で確認すると、そう、思った通りなのだ。今度はロクリアンの5番目の音だけを♯すると、フリジアン(3番目)になる。

同様に、フリジアンの2番目の音だけを♯するとエオリアン(6番目のモード)に、エオリアンの6番目の音だけを♯するとドリアン(2番目のモード)に、ドリアンの3番目の音だけを♯するとミクソリディアン(5番目のモード)になる。

そして、ミクソリディアンの7番目(最後)の音だけを♯すると、最初のモードであるアイオニアンに戻る。チャーチモードの完成だ。

だから、どうやらこういうことのようだ。モードを1つ覚えたら、7つの構成音のうち1つだけを♯する…。これを7回繰り返せば、最初のモードに戻り、チャーチモードを全部、習得できるというわけだ。

■アリロフエドミ――1個だけ♯で5度下のモードに


もう1度、順番をおさらいすると、アイオニアン、リディアン、ロクリアン、フリジアン、エオリアン、ドリアン、ミクソリディアン。頭の文字をつなげると、「アリロフエドミ」だ。

結局、モードを覚える順番としては「アドフリミエロ」よりも「アリロフエドミ」の方が効率的ではないか、と私は思い始めている。

これは、要は、「ある1音」を♯するだけで、「5度下(4度上)のモード」になるという法則だ。

文章では伝えにくいので、12音階の図で説明すると、こんな感じ。

   123456789101112
ア①―②―③④―⑤―⑥―⑦【出発】
リ①―②―③―④⑤―⑥―⑦【④を#】
ロ―①②―③―④⑤―⑥―⑦【①を#】
ロ①②―③―④⑤―⑥―⑦―【全体に半音下げ】
フ①②―③―④―⑤⑥―⑦―【⑤を#】
エ①―②③―④―⑤⑥―⑦―【②を#】
ド①―②③―④―⑤―⑥⑦―【⑥を#】
ミ①―②―③④―⑤―⑥⑦―【③を#】
ア①―②―③④―⑤―⑥―⑦【⑦を#】

各スケールとも1音を♯するだけでア→リ→ロ→フ→エ→ド→ミ→アと変わっていく。(上記でロクリアンだけはKeyが変わるので、全体的に一旦、半音下げている)

また、メジャースケールよりもナチュラルマイナースケールの方になじみがある人(暗いメロディーの方が好きな人)なら、エオリアンを起点に、エドミアリロフの順番で覚えるという手もあるのかもしれない。

無論、ギターの場合は指板で確認しつつ、音を聴いて確かめながら覚えるのがいいのかな、と思っている。「ああ、これはインド風だな」とか、「ああ、これは以前弾いたことがあるアノ曲のソロで弾いたスケールと同じだ」とか、いろんなことを連想しながら覚えていこうかな、と。こんなことを今やろうとしているわけだけど、実践で使えるようになるかどうかはいまだ「???」。

でも、どのみち運指の練習をするのなら、たまにはメジャースケール(アイオニアン)以外も弾いてみたい。そんな風に思っただけです。